ふるさときのこ考
はじめに
茸採り
茸事情今昔
松茸1
松茸2
端松(マツタケモドキ)
しめじ
きしめじ
霜降りしめじ
いぼこごり(センボンシメジ)
いくち1(アミタケ)
いくち2
老茸(クロカワ)
芝持ち1(アブラシメジ)
芝持ち2
権助1(ショウゲンジダケ)
権助2
舞茸1(マイタケ)
舞茸2
柴舞茸(カラスタケ)
赤茸(サクラシメジ)
香茸(革茸)1
香茸(革茸)2
そな1(ホウキタケ)
そな2
栗茸(クリタケ)
青老茸(アオロウジ)
初茸(ハツタケ)
スギヒラタケ
平茸(ヒラタケ)
白舞茸(ニンギョウタケ)
ぬめりいくち(ヌメリイグチ)
ウラベニホテイシメジ
岩茸1
岩茸2
せいたかいくち
ほこり茸(ホコリタケ)
木耳(大水母)(キクラゲ)
椎茸1(シイタケ)
椎茸2
エノキ茸(エノキ)
滑茸(ナメコ)
エリンジ(エリギイ)
マッシュルーム
毒茸
 ツキヨタケ
 一本シメジ
 ベニテングダケ
 ニガクリタケ
 クラウラベニタケ
 コテングタケ
 毒性そな(ホウキタケ)
 カキシメジ
薬効茸
 冬虫夏草(とうちゅうかそう)
 霊芝(マンネンタケ)
むすびの言葉
きのこウォッチングへ
毒茸

 日本の茸の種類は約三千〜五千種程で、その内の三十から五十種が毒茸だと云われている。毒茸中毒事故は毎年発生し後を絶たない。その上残念ながら時には死亡例も報告されてゐる。そんな危険なものを何故食べるかと云へば、それは茸の持つ魅力、“美味珍味”の故であらう。“うまいものには毒がある”はやっぱり眞理であり 古今その被害例は多い。
 例えばお釈迦様が涅槃に入られたのも、茸中毒だと云う説がある(一読には豚肉説もある)又芭蕉は大の茸好きで、弟子の日記に依ると激しい下痢の末、五十一才で生涯を終えたと記されてゐるが、その症状から想像して恐らく「ベニテングダケ」ではないかと言はれてゐる。偉人賢人も茸には弱い様である。
 茸は採集生活の大古の昔からの食材であり、縄文遺跡から茸の埴輪が出土した例からみても当時から重要な存在であった事がうかがえる。私たちの遠い先祖の古代人達も、中毒や落命の失敗を重ね試行錯誤をしながら食用種を選別したに違いない。現代に於ても毒茸の見分け法は極めて非科学的で、足が眞直ぐ裂ければいいとか、虫喰いの跡があれば無毒だとか、いづれも信用出来ない俗説ばかりである。一番確実な方法は、「疑わしきは食べず」につきる様である。
 更に解毒法に就いても同様で、茄子と一緒に食べると良いとか、当ったら赤土を水に解かせて飲むとよいなど諸説あるが、勿論医学的根拠など無く、早急に病院に行くしかない。
 その時、出来れば食べた茸の残りを持参すると、毒の種類が判別出来て治療が早いので心得ておくとよい。
 茸の毒には水溶性のものが多いので、念の為一度茹でこぼしてから調理すると、より安全度が増すと云はれてゐる。
 茸を安全に、おいしく食べる事こそ 食通の極意である。
 “毒きのこ 悩むを杖で 打ちにけり”   秋元不死男
次は当地方で 食用種と間違はれ易い毒茸を取り上げてみる。