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いくち氈iアミタケ)
いくちは最も平凡で、オーソドックスな茸である。
戦中頃迄は、一寸田舎へ行けば庭先にも道端にも生えてゐて、散歩の途中で採取し、入れ物が無ければ、そこの笹を折り数珠に差して持帰り早速食膳に乗せたものである。
人にあまり重要視されず、時には足で蹴られてしまう様な雑茸“いくち”は、又時にはあの松茸よりも人の心の中にしみじみと郷愁を残す存在である。たかが“いくち”されど“いくち”こそ いくち の本質である
雑茸(ゾウタケ)を すすきにさして 麓(ふもと)路で また落栗の実をば拾うて
青木霞村
いくちの柚子釜
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