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いくち2(アミタケ)
幾百年と続いた小鳥狩りが禁止されて久しい。鳥屋を思い出すと同時に、必ず脳裏をよぎるのは“いくち”である。
小鳥も食い飽き そろそろ朝食にしようか、
囲炉裏の大鍋に味噌汁を作り、小屋の周辺から“いくち”を採り 用意した里芋と一緒に一煮立てして食べたあの味は生涯まだあれに勝るものを知らない。どんな豪華な山海の料理もあの時のあの一腕の“いくち”の味噌汁を凌駕するものはないと、今でも確信してゐる。
新しい食文化が産れ、そして一つの食文化が消えてゆく。あの鳥屋の時間と空間と味覚は、も早や追憶の中にしか残らない。
いくちの味噌汁
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