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老茸(クロカワ)
老茸とは誠に言い得て妙の名である。人生苦難を重ねて老成した姿こそ、あの色あの形である。その上あのホロ苦さは、男が歩いた厳しい人生経験の味そのものである。
老茸は、男が酒と共に味わう人生回顧の哀歌であり、女性には所詮わからない味である。その証しに老茸を買うのは男性に限られると云う。誠に宜(むべ)なるかなである。
食べ方は生姜醤油焼が、一番素朴で男性的で老茸らしい。
藤村の「夜明け前」にも、茶屋の亭主が「老茸でも焼こうか…」と云うシーンがある。昔から焼老茸が常道であらう。
焼老茸生姜和え
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