明治の終わりから昭和にかけて、東濃地方は養蚕がとても盛んでした。
中津川においても養蚕を行なう農家が沢山あったといいます。
しかし平成に入り養蚕は衰退の一途を辿り、 今ではたった2軒の農家だけになってしまいました。

2004.5.21〜2004.6.22

シートに卵が貼付けられています。

生まれたての蚕。1cmもない位。

桑の葉を食べて大きくなります。

桑の葉は一日3,4回与えられます。

タバコの箱くらいまで成長。

桑の葉を食べているところ。

糸を出し始めました。

立派な繭に成長しました。

きれいになって出荷されます。

蚕は脱皮する。

蚕は本当によく食べる。

糸を出す蚕は黄色っぽくなる(右)。

養蚕専用の道具がある。1

養蚕専用の道具がある。2
繭ひとつで何メートルの生糸ができると思いますか?なんと1000メートルの生糸ができるそうです。 また、糸はそのままで使うと細すぎるので、6個の繭の糸をあわせて一本の生糸にするそうです。
●後藤さんの蚕

中津川市徳原に住む後藤庄平さんは、 中津川市内2件の養蚕農家のうちの1軒です。
毎年5月から9月にかけて、繭を3回出荷しています。


体長2センチほどの蚕。起きている間はえさの桑の葉をもりもりと食べ、見る見るうちに大きくなります。

家の前は蚕のための桑畑。1日に4回桑の葉を与えるため、広い桑畑が必要です。

今年は遅霜で、桑があまりよくてねえ・・・。と後藤さん。桑が育たなければ蚕を飼うことができません。

6月1日、中津川市立南小学校3年生の皆さんが、後藤さんの蚕を見学しました。

後藤さんのお宅は、中津川でも山の中。3年生の子供達は、小学校から約4kmの道のりを1時間半ほどかけて登ってきました。 中津川の市街地とは違い、とてものどかな風景です。


蚕をそっとさわってみたら・・・・冷たいよ。

蚕をそっとさわってみたら・・・・冷たいよ。

「蚕がえさを食べるときは音がするの?」 後藤さん「今も静かにしていると聞こえるよ。もっと大きくなるとザーザーと雨が降るような音が聞こえるんだよ」

<子供達と観察して発見!!>
・蚕のしっぽにはつのがある!
・蚕は冷たい。
・青虫は、脱皮をすると皮を食べるけれど、蚕は食べない。
・蚕の足は16本!
●養蚕最新事情

中津川市坂本にある広域稚蚕共同飼育所におじゃましました。 ここでは中津川をはじめ、恵那、山岡、福岡の養蚕農家のために、 養蚕の中でもっとも神経を使う孵化から3令目(脱皮を2回した)蚕を飼育しています。


工場のように見えるこの建物の中は、稚蚕の飼育に適した温度・湿度に保たれている。

生まれて4日目の蚕の赤ちゃん。体長は1センチにも満たない。

蚕の卵はこのシートの上に張り付けられている。

稚蚕専用の人工飼料。桑の葉を食べるようになるのは、もっと大きくなってから。

この棚1枚に、26000匹もの蚕が飼われている。

えさやりの様子。1日眠り2日起きている蚕。起きている間はえさを食べ続けている。
●繭ができるまで

蚕は、卵が孵化してから約1ヵ月間で4回の脱皮を繰り返し、やがて絹織物や絹糸の原料となる繭を作り始めます。 繭ができあがるまでに約3日間。 それからさらに2〜3日かけて繭の中でさなぎになります。完全にさなぎになったら出荷されます。
●中津川の養蚕を支えた風穴

古代の街道、東山道の神坂峠に向かう途中、いくつもの洞穴があります。 これは明治から大正にかけて近くに住む人たちが、道ばたの石を集めて作ったもので、風穴(ふうけつ)と呼びます。 この風穴はいわば天然の冷蔵庫。秋用の蚕の卵をこの風穴の中に入れ、低温保存していたのだそうです。 海抜800〜1500メーターくらいがもっとも蚕に適しているようで、30あまりの風穴が街道沿いに並んでいるところもあります。
こぼれ話 かわいそうな蚕のお話

白く輝くきれいな繭。蚕は繭の中でさなぎになります。でも絹に必要なのは繭だけ。それではさなぎは・・・・?
むかし、養蚕は農家の重要な副収入でした。仕事はきつくても、現金収入があるというのは、どこの農家にとっても魅力だったようです。 そしてもうひとつ・・・ さなぎが家族の健康を守る重要なタンパク源となっていました。山間地の農家にとっては大切なおかずだったのです。

蚕のおいしい?食べ方



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