takenetのきのこの本
 


恵那山エリアは山の恵みの宝庫。秋の休日はキノコ採りを楽しむ人もたくさんいます。
そして、産直市にも、さまざまなキノコが並びます。


●キノコ採りの鉄則
<鉄則1>
朝早く出て、明るいうちに帰る
「秋はつるべ落とし」という言うように、秋の日は暮れるのがとても早いものです。
しかも、キノコが生える森林は昼間でも薄暗いところが多いもの。できるだけ朝早く出発し、必ず明るいうちに引き上げるようにしましょう。
<鉄則2> あまり山奥まで入り込まない
シーズン中には、キノコ採りに夢中になるあまり、帰り道がわからなくなってしまった・・・というニュースを良く耳にします。不案内なところには奥深くまで入り込まないようにしましょう。
<鉄則3> 「止め山」には足を踏み入れない
マツタケ山のように、その山の所有者や土地の人が採取の占有権を持っている場所があります。これを「止め山」といい、ロープが張ってあったり立て札が立っているので、決して足を踏み入れないよう気をつけましょう。
<鉄則4> 判断できないキノコは口にしない
キノコの種類はとても多く、なかには毒キノコもたくさんあります。持ち帰ったキノコは図鑑などでよく調べ、少しでも「?」と思ったキノコは決して食べないようにしましょう。
<鉄則5> 山へ入る心構えと服装で
キノコ採りは、長袖長ズボンが基本。軍手、長靴や登山靴、帽子も忘れずに。また、バックを持っていく時は、リュックタイプのもので。
用心のために笛、地図、雨具、方位磁石も準備しましょう。

  
3月〜
7月〜
8月〜
9月〜

ナラタケ

ゴンスケ

イクチ

マツタケ

マイタケ

クリタケ

ロウジ

コウタケ

シバモチ







<分類>
  イボタケ科
<旬>
  3〜10月
<発生場所>
  ブナ、コナラ、クヌギ、ミズナラなどの広葉樹、アカマツ、カラマツなどの針葉樹の倒木、切り株、枯れ幹、埋もれ木などに群生する。時には公演や街路樹のサクラにも発生することも。
<特徴>
  
形状・・・
傘の径3〜15センチ内外。半球形から丸山型を経て、扁平に開く。
傘の表面・・・
黄褐色〜淡褐色、または緑黄褐色。中央部には暗褐色の微細な片鱗が集中し、周縁部には放射線状の乗船がある。
傘の裏面・・・
ヒダはやや密で、柄に直生ないし垂生する。色は白色だが、のちに黄褐色のシミが出る。
柄・・・
長さ4〜15センチ、径5〜15ミリ内外。上部に膜質のツバがあり、ツバよりも上は傘よりも淡色。ツバよりも下は暗褐色〜帯紫褐色となる。
その他・・・
傘や柄のサイズは、発生する場所や環境によって異なる。「アシナガ」「ボリボリ」など異名が多い。
<味>
  英名では「ハニー・マッシュルーム」と呼ばれており、ほのかに甘い香りがする。よいダシが出て、歯切れ、口当たりもよい。
<料理>
  酢の物、みそ汁、天ぷら、フライ、煮物など




<分類>
  キシメジ科
<旬>
  9〜10月
<発生場所>
  アカマツ、クロマツなどの松林
<特徴>
  
形状・・・
傘の径8〜20センチ内外。まれに30センチ位のものもある。球形→まんじゅう形→扁平にと開く。
傘の表面・・・
全体が淡黄褐色〜茶褐色の繊維状鱗片で被われ、生長とともに裂け目やひび割れが入る。
傘の裏面・・・
ヒダは密で柄に湾生している。最初は白色でしだいに褐色のシミができる。
柄・・・
長さは10〜20センチ(まれに30センチのものも)。径は2〜4センチ内外。丈夫に綿毛状のつばがある。つばの上は白色で、つばの下は傘と同色。通常、柄は地中に深く伸びる。
その他・・・
"マツタケオール"を主成分とする、独特の芳香がある。
<採り方のコツ>
  マツタケは並んで発生する性質があるので、1本見つけたら、近くをよく探して見ると良い。去年発生した付近には再度発生しているので、マツタケを見つけたらその場所をよく覚えておくと、来年も探すことができる。
<味>
  マツタケの命は何と言っても香りと歯触り。マツタケを小さく切ってから洗うと香りが逃げてしまうので丸のまま洗うのが鉄則。
<料理>
  炊き込みご飯、和え物、吸い物、茶碗蒸し、土瓶蒸し、ホイル焼きなど


似ているキノコ
マツタケモドキ
(食用キノコ)・・・・
マツタケシーズンが終わってから、アカマツ林に顔を出す。マツタケのような香りはなく、風味も数段劣る。
バカマツタケ
(食用キノコ) ・・・・
香りはマツタケに似ているが、コナラやミズナラなどの広葉樹林に生える。

長多喜主人がこっそり教えるマツタケのレシピ

マツタケのおこわ

<マツタケのおこわ>
  1. もち米を洗って、たっぷりの水に半日ほどつけておく。
  2. フキンを敷いた蒸し器に(1)をいれ、中火で25分ほど蒸す。
  3. マツタケはイシヅキの先を削り、塩、酒でよく洗い、適当な大きさに切る。
  4. ギンナンは薄皮をむいて半分に切る。とり肉を1センチほどに切る。
  5. 鍋にだし汁、とり肉を入れてを入れて煮る。
  6. 蒸し上がったおこわに(3)〜(5)を入れて、10分ほど蒸らす。



<分類>
  タコウキン科
<旬>
  9〜10月
<発生場所>
  ミズナラやブナ、クリ、シイなどの老木の根ぎわに、下部をつくって発生する。
<特徴>
  
形状・・・
下部の大きさは、高さ15〜30センチ、径10〜40センチ内外で、一株2〜3キロほどになる。多数の傘が、上に向かってまい踊るように伸びることから、「舞茸」の名がついた。
傘の表面・・・
半円形〜扇形、またはヘラ形で、径2〜5センチ、厚さ2〜4ミリ内外。はじめは黒〜黒褐色で、後に退色してネズミ色〜灰褐色になる。不明瞭な環紋と放射状の繊維紋がある。
傘の裏面・・・
管孔状で柄に垂生し、白色。肉も白色でよくしまっている。
その他・・・
市販品よりも天然マイタケのが、味、香り、歯触りとも良い。
<採り方のコツ>
  根元からナイフで切り取り、傘がかけやすいので、一株ずつ袋に入れる。
<味>
  クセのない風味で、どんな料理にも適している
<料理>
  炊き込みご飯、和え物、吸い物、茶碗蒸し、土瓶蒸し、ホイル焼きなど


似ているキノコ
シロマイタケ
(食用キノコ)・・・・
同属で食用のシロマイタケは、傘全体が白色〜黄白色。




<分類>
  マエギタケ科
<旬>
  9〜11月
<発生場所>
  コナラ、クヌギ、クリなどの広葉樹の倒木、切り株、枯れ幹、埋もれ木に束状になって群生
<特徴>
  
形状・・・
傘の径3〜8センチ内外。半球形→まんじゅう形→平らに開く。
傘の表面・・・
赤褐色〜茶色。生えはじめの頃は、周辺部に白色の繊維状鱗片をつけるが、生長とともにはがれて落ちる。湿ると弱い粘性があり、乾くとひび割れが生じる。
傘の裏面・・・
ヒダは密で柄は直生または湾生し、黄白色のち淡紫褐色になる。
柄・・・
長さ5〜10センチ、径5〜15ミリ内外。上部にツバをつけるが、早期に落ちるので分かりにくい。柄の上部は黄白色、下部は傘とほぼ同色で、内部は中空。
<採り方のコツ>
  柄がかたくて傘がはずれやすいので、傘には触れず、柄の根元をつまんで採る。
<味>
  クセのない風味で歯切れも良い。
<料理>
  炊き込みご飯、雑炊、酢の物、みそ汁、茶碗蒸し、鍋物、ホイル焼きなど


似ているキノコ
ニガクリタケ
(毒キノコ)・・・・

同属で猛毒のニガクリタケは、傘の径が2〜5センチ内外と小さく、全体的に硫黄色で中央部分が黄褐色を帯びている。噛むと苦いことから「ニガクリタケ」という名がついている。
毒性分はファシキュロールで、食後数時間で激しい嘔吐、下痢、痙攣を起こす。死亡例もある。

長多喜主人がこっそり教えるクリタケのレシピ

クリタケの佃煮
    <クリタケの佃煮>
  1. クリタケのイシヅキを取り、水洗いをして汚れを落とす。
  2. みりん、しょうゆを1:1の割合で鍋に入れる(クリタケ1株に対して、各大さじ1程度)。
  3. 水分がなくなるまで煮る。



<分類>
  イグチ科
<旬>
  8〜10月
<発生場所>
  アカマツ、クロマツなどの松林
<特徴>
  
形状・・・
傘の形はまんじゅう形から扁平に開く。
傘の表面・・・
黄褐色〜赤褐色で、強い粘性を持つ。
傘の裏面・・・
管孔状で、色はオリーブイエロー。多角形で大小ふぞろいの孔口がほぼ放射状に並ぶ。
柄・・・
色は傘の色に似ているが、少し薄め。根元に向かって細くなる
その他・・・
肉は傷ついても変色しないが、加熱すると紫色になり、粘性が強くなる。
<採り方のコツ>
  柄の下部をつまんで引き抜く。雨のあとなど湿っている時は、傘と傘がくっついていることもあるので傘を壊さないように注意。
<味>
  クセのない風味で歯切れが良い。たくさん収穫した時は、塩蔵することもできる。
<料理>
  みそ汁、酢の物、和え物、鍋物、つくだ煮


長多喜主人がこっそり教えるイクチのレシピ

イクチ汁
    <イクチ汁>
  1. イクチのイシヅキを取る。
  2. (1)を熱湯でしばらくにてから水洗いをして汚れを取る。
  3. みそ汁を作り、(2)を入れる。
    ワンポイントアドバイス イクチ汁には、赤出し、田舎みそがおすすめ。 具は、さといもと相性が良い。



<分類>
  フウセンタケ科
<旬>
  7〜11月
<発生場所>
  梅雨明けから11月初旬にかけて、モミ類やアカマツ林の地上に群生する。マツタケ山では、マツタケにやや遅れて発生する。
<特徴>
  
形状・・・
傘の径4〜15センチ内外、半球形から丸山型を経て、ほぼ扁平に開く。
傘の表面・・・
生えはじめの頃は、白色〜帯紫色の絹光沢のある繊維で被われているが、生長とともに黄土色〜黄土褐色になり、放射状に浅いシワができる。
傘の裏面・・・
ヒダは密で、柄に直生する。色は白黄色ないし淡黄色で、のちに黄褐色になる。
柄・・・
長さ6〜15センチ、径8〜20ミリ内外。色は傘よりやや薄く中央部に黄色い膜質のツバがあり、根元には不完全なツボが残る。肉は白色〜淡黄褐色。色は傘の色に似ているが、少し薄め。根元に向かって細くなる
その他・・・
一般にショウゲンジと呼ばれるこのキノコ、「美濃のショウゲン寺の僧がうまいキノコだ」といったのが名前の由来だとか。この地方ではゴンスケと呼ばれているが、「ショウゲン寺」に住む権助という寺男の名前といわれている。中津川市内には今でも「松源寺」がある。
<採り方のコツ>
  柄の下部をつまんで引き抜く。雨のあとなど湿っている時は、傘と傘がくっついていることもあるので傘を壊さないように注意。
<味>
  よく締まった肉質で、歯切れが良い。
<料理>
  炊き込みご飯、雑炊、和え物、鍋物、みそ汁、茶碗蒸し、天ぷら、ホイル焼きなど



<分類>
  イボタケ科
<旬>
  9〜11月
<発生場所>
  マツやモミの林内。落ち葉に埋もれるように散生、群生する。
<特徴>
  
形状・・・
傘の径5〜15センチ内外。扁平の山形から平らに開き、中央部がへこむ。
傘の表面・・・
最初は灰白色〜白色だが、生長するにしたがい黒っぽくなり細かい毛が密生する。
傘の裏面・・・
目の細かい管孔状で白く、老成すると灰色になる。肉は1センチ以上の厚みがあって白く、傷をつけると赤紫色になる。
柄・・・
長さ3〜8センチ、径1〜3センチ内外と太短く、根元がやや細くなる。
その他・・・
一般的には「クロカワ」と呼ばれる。傘の開いた様子が牛の額に似ていることから、「ウシビタイ」と呼ぶ地域もある。
<味>
  苦みがあることから、食通好みのキノコといわれる。
<料理>
  和え物、ホイル焼きなど



<分類>
  イボタケ科
<旬>
  9〜10月
<発生場所>
  コナラ、クヌギなどの広葉樹、またはアカマツ混じりの雑木林に群生する。
<特徴>
  
形状・・・
傘の径10〜20センチ、高さ10〜20センチ内外になる漏斗形のキノコ。
傘の表面・・・
はじめは淡茶褐色だが、しだいに濃くなり、乾くと黒褐色になる。表面全体が暗色のささくれ状鱗片に被われている。
傘の裏面・・・
裏面全体が長さ1センチ内外の針状突起に被われ、灰白色のち暗褐色となる。
柄・・・
長さ4〜5センチ、径3〜5センチ内外。太短く、内部は中空で、傘とほぼ同色。根元まで短い針状突起に被われている。
その他・・・
肉は赤みを帯びた白色で、乾くと黒褐色になる。特有の強い芳香があり、それが名前の由来。
<味>
  やや苦みがあるが、歯切れがよい。香りは、乾いた方が強くなる。
<料理>
  炊き込みご飯、和え物、茶碗蒸し、天ぷら、ホイル焼きなど


似ているキノコ
ケロウジ
(食不適)・・・・
傘の径が5〜10センチ内外と小型で、柄の上部にしか針状突起がないのが特徴。苦みが強く、食用には適さない。
長多喜主人がおすすめ コウタケのおいしい食べ方

コウタケの生姜焼き
<コウタケの生姜焼き>


<分類>
  フウセンタケ科
<旬>
  9〜10月
<発生場所>
  コナラ、クヌギ、ミズナラなどの広葉樹林の地上に群生する。傘の径4〜10センチ内外。丸山型から中高の扁平に開く
<特徴>
  
形状・・・
傘の径4〜10センチ内外。丸山型から中高の扁平に開く。
傘の表面・・・
淡黄土色〜黄褐色で、老成するとサビ褐色になる。
傘の裏面・・・
ヒダは密で、柄にほぼ直生。
柄・・・
長さ6〜15センチ、径7〜10ミリ内外。色は白色で、下部は黄褐色に被われる。
その他・・・
この地方で「シバモチ」と呼ばれるキノコは諸説あり、「ニセアブラシメジ(クリフウセンタケ)」をさす場合もあれば、アブラシメジの場合もあるといいます。
<味>
  クセがなく歯切れも良いので、いろいろな料理とよく合うが、特に炊き込みご飯や朴葉寿司がおすすめ。
<料理>
  炊き込みご飯、酢の物、和え物、ホイル焼き、天ぷら、フライなど


長多喜主人がこっそり教えるシバモチの料理

シバモチの朴葉寿司



(取材協力:長多喜