コラム◆開田村とそばの結びつき
開田高原の土地は決して肥沃とはいえないので昔から備荒作物の栽培は盛んでした。トチの実やナラの実とともに飢饉の備えとしてそばは室町時代より開田では作られていたようです。また古くから村の百姓はそばを米飯代わりに或いは補食として珍重したようです。蒔いた後、ほとんど手入れもいらないために昭和の初期頃までは、ゆるやかな山の斜面の畑などは見渡す限りそば畑といった風景がみられたそうです。
そんなことで開田にはそばの食べ方もいろいろあって、また慶弔時の際にも必ず手打ちそばを振る舞ったものです。代表的な食べ方は、ソバキリ、ソバヤキ餅、キシメン、ウキフ(ソバダンゴ)等がありますが、開田の独特な食べ方はやはり「トウジカゴ」を使ったトウジソバでしょう。一旦茹でて、水で冷やした後、トウジカゴという小さいカゴに入れて、熱くしたそばつゆにくぐらせてそのままお椀に盛るものです。これに開田名物のスンキをのせたりするのもまた良いものです。
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