奥義 霧しな流 そばの道
奥義 霧しな流 そばの道


第4章◆もう一歩本格的に自分でそばつゆをあつらえる
だしと返しの合わせ方

 いよいよ最後の仕上げです。ここではもりそば用のいわゆる「辛汁」とかけそば用の「甘汁」という基本の2つのつゆの合わせ方について説明します。基本的にはこの違いは返しとだしの混ぜ方の割合の違いから生まれますが、丁寧な仕事をするそば屋ではだしも返しも「辛汁用」と「甘汁用」と区別しているところもあるようです。

◇辛汁の作り方

  1. 先程とっただしを鍋に戻します(冷ます必要はありません。)
  2. ここにねかせておいた本返しを入れます。
    返し:だし = 1
    :2
     ↓
    (5あるいは3)
  3. 火を付け軽くひと煮立ちさせてから、冷ませば完成です。

 本来そば屋ではこのだしと返しを合わせる作業の後で『たんぽ(またはどろたんぽ)』という道具を使ってさらに湯煎を行います。つまりたんぽに冷ました辛汁を入れて30〜60分ほどじっくりと時間をかけて湯煎するのです。こうしますと返しとだしのなじみがぐんとよくなって渾然一体としたうまみが引き出されるため、そば屋では欠かせない作業になっています。そしてこの辛汁をさらに半日以上はねかせて自然に冷却させてようやくこれで完成ということになるのです。

◇甘汁の作り方
 合わせ方の手順は基本的に辛汁と同じです。ただしこの時、だし汁に2番だし(バカだしともいいます)を使って割る店も多いようです。

返し:だし = 1:10

 ここに至ってようやく自家製のそばつゆが出来上がったわけですが、だしを利かせ、かえしを何日もじっくりとねかせて、しっかりあわせたそばつゆは下手なそば屋よりもおいしいことでしょう。なにしろこれは商売ではくていいんですから。材料にも凝れるし、時間もかけられるし…。東京の古いのれんのそば屋はそばよりもむしろそばつゆに命をかけている、んだそうですよ。是非、是非、ご自分でのそばつゆ作り挑戦してみてください。これは間違いなくあなたの「そばライフ」の新天地を開いてくれるはずですから。

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