本来そば屋ではこのだしと返しを合わせる作業の後で『たんぽ(またはどろたんぽ)』という道具を使ってさらに湯煎を行います。つまりたんぽに冷ました辛汁を入れて30〜60分ほどじっくりと時間をかけて湯煎するのです。こうしますと返しとだしのなじみがぐんとよくなって渾然一体としたうまみが引き出されるため、そば屋では欠かせない作業になっています。そしてこの辛汁をさらに半日以上はねかせて自然に冷却させてようやくこれで完成ということになるのです。
◇甘汁の作り方
合わせ方の手順は基本的に辛汁と同じです。ただしこの時、だし汁に2番だし(バカだしともいいます)を使って割る店も多いようです。
ここに至ってようやく自家製のそばつゆが出来上がったわけですが、だしを利かせ、かえしを何日もじっくりとねかせて、しっかりあわせたそばつゆは下手なそば屋よりもおいしいことでしょう。なにしろこれは商売ではくていいんですから。材料にも凝れるし、時間もかけられるし…。東京の古いのれんのそば屋はそばよりもむしろそばつゆに命をかけている、んだそうですよ。是非、是非、ご自分でのそばつゆ作り挑戦してみてください。これは間違いなくあなたの「そばライフ」の新天地を開いてくれるはずですから。