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 木曽八景は、近江八景になぞらえて尾張中納言宗勝のころ(1743年前後)、尾張藩の書物奉行をしていた松平君山が木曽路を訪れ作ったともいわれ、一説には尾張の俳諧師、横井也有ともいわれている。木曽の北部より次の八景がある。
それぞれ、風景画とともに俳句が詠まれている。この版画は木曽寝覚めの臨川寺を訪れると販売している。

  • 徳音寺の暁(晩)鐘
    日義村の木曽義仲の菩提寺、晩秋の夕暮れにつく暮六の鐘の音は有名である

    「遠近ハ聞も さためぬ山風の
                さそふままなる 入相のかね」

  • 御嶽の暮雪
    三岳・王滝・開田村にまたがる古くからの信仰の山、御嶽の五・六月頃の残雪が薄紫色の山肌に美しい模様を描き情緒がある。

    「志なのちや むかはぬ不二の おもかげを
               ここぞみたけの ゆきの夕はえ」

  • 棧(掛橋)の朝霞(霧)
     上松より四キロメートルの地点にある棧は、初夏のころの木々の緑、木曽川の藍、花崗岩のさまざまな形が朝もやの中にかすんで見える風景が一番よいといわれれている。

    「朝日影 にほえるみねは 猶晴れて
              たによりかけむ きそのかけはし」

  • 寝覚めの夜雨
    上松駅より約1.5キロメートル。梅雨のころ、しぐれる寝覚ノ床一帯の風情は落ち着  いた趣がある。
    「七とせの あとおや おもうたれか又
                ねさめの床の 雨のよすがら」

  • 風越の晴嵐
    上松駅より約四キロメートル。緑の草山を夏風の吹き越していく様は雄大なながめである。

    「吹くもまた あらしはよはき たえだえに
                 くもはれ残る 風越しの春」

  • 駒ヶ岳の夕照
    木曽の各町村からながめられる。秋から春まで、白雪の駒ヶ岳連邦が、夕日に映えて赤紫色に照り輝くさまは幻想的な美しさである。は幻想的な美しさである。

    「おしめ人 入日を山の 名にしおふ
                 ひきゆく駒の すくる光を」

  • 小野の瀑布
    上松駅より約三キロメートル。昔よりこの街道で知られた名所であるが、今は昔の面影はあまり残っていない。
    「名にたてる 木曽の麻衣(あさきぬ) そめなして
                雲井にさらせ たきのしら糸」

  • 与川(横川)の秋月
    南木曽町十二兼より約四キロメートル。坂本平からながめる仲秋の名月は木曽随一といわれている。

    「秋ふかき 高根のしげみ わけ過て
               よかわにすめる 月そさやけき」 

    (信教出版部発刊「木曽」より)