「 桃の節句 」
この辺りの雛まつりは、恵那山の雪が消え里々桃の花がようやく花開く四月になって、一月遅れで行われるのが通例である。
山里の春は、それほど遅く、待ち遠しいものである。
白酒にほんのりとよった女性や子供たちの賑やかなさんざめきが聞こえる、色彩も音色も、すべてが明るく軽やかな春の季節に溶けてゆく。
古川柳に、
時々は男性の客もあって白酒では物足りなくなり しほらしき 生酔の有る雛祭り
雛まつり 皆ちっぽけな くだを巻き
清濁を わけてもてなす 雛の客
と云うことにもなる。 桃の節句料理は、出来るだけ華やかに、可愛らしく飾ってみたい。