「へぼ」

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「 へ ぼ 」
 学名「黒雀蜂」所に依って「地蜂」「ハエ蜂」とも云う。”へぼ”と云うのは、この地方だけの呼び名で、その語源はつまびらかではない。へぼ博士の松原弘先生は、「蜂の通称で”閉房”と云う言葉はあるが、それがこの”へぼ”につながるかは不明である。又、”へぼ”は他の蜂と比べて必須アミノ酸・鉄分ビタミン等が多く、従って美味で山国の蛋白源として古くから好んで食べていた。」と教えてくれた。
 ”へぼ取り”は楽しいリクレーションでもある。蛙の肉(今は鳥肉)竹竿に刺しておくと、やがて働蜂が肉を運び出す。その方向と帰ってくる時間で距離を測る。適当と思う蜂に目印の真綿をつけた肉片を持たせる。さあへぼ追いが始まる。ここがへぼ取りの醍醐味である。
やがて土中の巣穴を見つけると、セルロイド(今は花火)を燃やして、いぶり酔わせて掘り出す。数段もある巣を手にすると、ずっしりと重く、思わず頬のゆるむ一瞬である。炒り煮・へぼ飯の他に若者向きにばたーで炒り上げるのもよい。