「芋ごね(芋焼餅)」

19imogone.gif

「芋ごね(芋焼餅)」
 芋焼餅とは、里芋を蒸し、そば粉を練ったもの(または玄米半分の飯)につき混ぜ、平たく握って炭火でこんがり焼き、大根下ろしや生姜醤油、柚子味噌などで食べる。さっぱりした舌ざわりと、香ばしい味が素朴で、五平餅と又違った故郷の味覚である。
 芋焼餅は、島崎藤村の「夜明け前」にも、しばしば登場する。
「本陣とは云っても、吉左右衛門の生活は質素で、芋焼餅などを冬の代用食とした(中略)おまんは炉辺にいて家の人たちの好きな芋焼餅を焼いた。」又半蔵の結婚から六日目の件に「・・・・あかあかと炉の火が燃えた。おふきが隣家まで行って帰ってきた頃には、渡し金の上に載せてある芋焼餅焼きざましになった頃だ。おふきは、その里芋の子の白くあらわれたやつを温め直して、大根下ろしを添えて新夫婦に食べさせた・・・」

  • 芋掘りし 泥足脛は 美しく     平畑静塔