恵那山エリアは自然の恵みがいっぱいです。ワラビ、タケノコ、たらの芽・・・・季節を通して味わうことができる山の食材をご紹介します。

●山の食材取りの注意とマナー
山菜やキノコは摘み過ぎない、樹木をいためない、個人の所有地には入らないなど基本的なことをしっかり守りましょう。
魚類は、稚魚を釣ったときは必ず川へかえしましょう。
ゴミは持ち帰る、山火事にならないよう火の扱いには注意するなど、最低限のマナーは必ず守ってください。
山の食材の中には毒性の強い植物もあります。見分けがつかない植物は採取しないようにしましょう。
3月〜

タケノコ

ワラビ

イタドリ

ウド

カラスノエンドウ

ヨモギ
4月〜

ウコギ

タラノキ

ギボウシ

コゴミ

コンテツ

ギョウジャニンニク

ソバナ
5月〜
6月〜

ユキノシタ

ヤブレガサ

ドクダミ







<種類>
最もよく食べられているのはモウソウチク。エグミが少なく、肉厚で柔らかい。ハチクもエグミが少ないが、独特の味がある。一般的にタケノコと言えば、モウソウチクを言う。

<旬>
早いものは3月から出始めるが、タケノコの産地中津川の瀬戸地区では4月中旬頃から出荷が始まる。
タケノコは鮮度が高いものほど柔らかく、アクが少ない。

<目利きのポイント>
砲弾型のずんぐりと太く短いもので、皮はつやがあり、切り口がみずみずしく丸い形をしているものがよい。皮の先端が緑色のものは育ち過ぎで、エグミが強く、筋張っている。

<アク抜き>
1. タケノコを洗って根元を切り、穂先きを斜に切り落とす。
2. 鍋にタケノコ、米ぬか、赤とうがらし2本を入れ、1時間茹でる。
3. 火を止めてそのまま冷やし、タケノコについた米ぬかを洗い落とす。

<保存>
冷蔵保存で1週間程度。

長多喜主人がこっそり教えるタケノコのレシピ

タケノコとワラビの煮物
    <タケノコとワラビの煮物>
  1. 茹でたタケノコをざく切りにし、酒・砂糖を加え、削り節(厚切りのものがよい)を入れ、一煮立ちさせ、しょうゆを加える。
  2. ワラビの灰汁抜きしたものを適宜に切り、(1)に加えて炊き上げる。
  3. 最後に味を整える。
タケノコは水分が多いので、調味料は多めにすることがポイント。


<旬>
山菜の中で最もポピュラーなもののひとつ。野生のワラビを摘むと、指が真っ黒になるほどアクが強い。旬は3月〜5月頃。日当たりのよい草地帯を好む。摘む時に茎がぽきんと折れて、切り口から粘りけのある液体が出るものほど鮮度が高い。

<目利きのポイント>
春の陽射し受けて地面から顔を出すワラビは、茎が太く、切り口から粘液が出てくるものが上質。野生のワラビは香りとアクが強い事が特徴。
アク抜きしてから売られているワラビのなかに、ひときわ鮮やかなものがあるが、これは人工的に着色されている場合もあり、要注意。


ワラビ料理
<アク抜き>
ワラビはアクが強いので、アク抜きしないと食べることができない。わら灰を使うとうまくアクがぬけるが、重曹でもよい。
1.ワラビの先端を少し切り、ワラビに灰をまぶし、鍋などに入れて熱湯をひたひたになるくらい注ぐ。
2.そのままふたをして冷やす。
3.十分にさめたらで水洗い。 料理に使うときはさらにさっとゆで、おひたし、和え物に。

<保存>
乾燥させて干しワラビに。

長多喜主人がこっそり教えるワラビのレシピ
    <山菜サンドウィッチ>
  1. 茹でたタケノコを油でいため、とり肉または豚バラ肉を加えていためる。
  2. 肉に火が通ったら、水をひたひたになるまで加え、落とし蓋をして強火で煮る。
  3. 煮立ったら弱火にし、砂糖、酒を加えて5分ほど煮る。
  4. しょうゆを加えて、煮汁がなくなるまで煮る。
  5. サンドウィッチ用のパンにマヨネーズを塗り、(4)をはさめばできあがり。


<分類>タデ科

<旬>3〜5月

<食べるところ>若芽

<特徴と種類>
強い酸味がある。これはシュウ酸で、食べ過ぎには注意。

<下ごしらえ>
若い茎の皮をむいてさっとゆでる。

<料理>酢の物・お浸し・天ぷら


山菜の天ぷら
左からクズ・ドクダミ・イタドリ
天ぷらにするときは、アク抜きをしなくても食べられる。
<こぼれ話>
イタドリの名前の由来は疼(いた)みを取る効果があることから「イタドリ」と名付けられたとか。イタドリの根は漢方で虎杖根(こじょうこん)とよび、緩下剤、利尿剤として使われている。民間両方では、せき止、止血のよいとされている。



<分類>ウコギ科
<旬>3〜5月

<食べるところ>若芽の葉と茎

<特徴と種類>
特有の香り、ほのかな甘味と苦味、そしてシャキシャキとした歯ざわりがある。
「山うど」の名で知られる緑化うどは、日光にあたって育ったもの。江戸時代から栽培される軟白うどは、日に当てずに育てられている。栄養的にはどちらも変わらない。

<お店で買うときの目利きのポイント>
株の切り口が新しく、根元から穂先きまでが同一の太さのもの。白くて光沢があり、皮には産毛のような細毛がはており、さわるとちくちくと痛いもの。


ウドとわらびとカツオのタタキ
カツオのタタキの上に、ウド、わらびをのせ、ポン酢などをかける。酒の肴に・・・。
<下ごしらえ>
新鮮なものなら水洗いだで十分。通常は30分〜3時間ほど水にさらさらす。

<料理>ウドの皮のきんぴら 酢みそかけ

<保存>沢山とれたときには、塩漬けにして保存。

<こぼれ話>
原産地は日本。頭痛や神経痛にも効果あり。根は陰干しにし、浴槽に浮かべると、保質効果の高い入浴剤になる。
アメリカではダイエットサラダとして人気がある。




<分類>ウコギ科

<旬>4〜6月

<食べるところ>若芽

<下ごしらえ>
熱湯に塩をひとつまみ加え、色よく茹でて冷水に浸す。

<料理>お浸し・天ぷら・あえもの・御飯

<こぼれ話>
ウコギには、ヤマウコギ、ヒメウコギ、エゾウコギなど数種類あり、日本全国に広く分布している。枝にはとげがあるので、摘むときには注意。ヒメウコギはヤマウコギよりもクセがなく御飯にまぜるとおいしい。ヤマウコギは天ぷらに最適。
 ウコギ類は昔から強壮剤として利用されており、中国で「五加皮(ウーチャピー)」と呼ばれ、果実や枝の皮、根を煎じとものが冷え性、腰痛によく効くとされた。また、ウコギやほかの薬草を混ぜてコウリャン酒につけた「五加皮酒」は不老長寿の薬用酒とされている。


長多喜主人がこっそり教えるウコギのレシピ
    <五加木(ウコギ)御飯>
  1. アク抜きしたウコギをよく冷まし、水気を絞る。
  2. お浸しの付け汁にしばらく漬ける。
  3. 御飯にお好みで塩をふり、2をよく絞って御飯にまぜあわせる。


<分類>ウコギ科

<旬>4〜5月

<食べるところ>若芽

<特徴と種類>
落葉性の低木で、幹は余り分岐せず真っ直ぐのびて、幹には鋭い刺がある。

<料理>和え物、汁の実にも使うが、天ぷらが最高。

<こぼれ話>
山菜の王様といわれるタラノキ。「森のバター」といわれるほど資質とタンパク質を含んでおり、栄養価の高い山菜。 タラノキによく似た植物に有毒のヤマウルシがある。見分けのポイントは幹のトゲ。タラノメにはトゲがあり、ヤマウルシにはトゲがないので、採取の時のは気をつけたい。 また、タラノキはとても弱い植物なので、若芽を乱獲してしまうと枯れてしまうので注意が必要。枝を折ると木が枯れてしまうので、 枝先の若芽をつむようにする。



<分類>マメ科

<旬>3〜5月

<食べるところ>若芽、若い茎、若い実

<特徴と種類>
春野を飾る、かわいらしい紅紫色のカラスノエンドウ。マメ科特有の甘味と香りがある。

<料理>天ぷら、素揚げ、炒めもの

<こぼれ話>
「ヤハズノエンドウ」の別名を持つカラスノエンドウには胃健・強壮の薬用がある。



<分類>ユリ科

<旬>4〜6月

<食べるところ>若芽、伸びた葉柄、花

<特徴と種類>
「ウルイ」という名前で親しまれている山菜。オオバギボウシ、コバギボウシ、ミズギボウシなど種類が多い。オオバギボウシの葉は大きく、卵状のだ円形。コバギボウシの葉は広めのだ円形で、葉脈がへこんでいるのが特徴。

<料理>
若芽と葉柄は、おひたし、和え物、天ぷら
花はお浸し、酢のもの。

<調理のポイント>
伸びた葉は葉柄だけを食べる。若芽は全体を食べる。アク抜きは、茹でてみずにさらす。シャリシャリとした歯ざわりとほろ苦さ、ぬめりがある。

<こぼれ話>
茹でて天日に干したもの「ヤマガンピョウ」という。じっくり干せば、日持ちするので、たくさんとれた時におすすめ。



<分類>オシダ科

<旬>4〜5月

<食べるところ>若芽

<特徴と種類>
湿った藪の中、草原、落葉樹林の中などに生える多年草で、巻いた芽は数日で開く。シダの仲間では最大で、葉が開くと1mを越す物もある。

<料理>
天ぷら、和え物、おひたし、炒め物など

<調理のポイント>
アク抜きの手間がなく、味にクセもない。そのまま天ぷらにしたり、軽くゆでて調理できるので、幅広く料理に使うことができる。

<こぼれ話>
「コゴミ」の名は、若芽が巻いている様子が屈(こご)んでいるように見えることの由来する。葉は柔らかく、ワラビに比べて食べやすい。ワラビを食べないアメリカでも「コゴミ」だけは食用とされている。



<分類>ウコギ科

<旬>4〜5月

<食べるところ>若芽

<特徴と種類>
タラノキよりもアクが強く、強い香りがあることが特徴で、タラノキよりもおいしいと、こちらを好む人も多い。一般的には「コシアブラ」の名称で呼ばれているが、この地方では「コンテツ」の名で通っている。葉が5枚の小葉に分かれているので、採取する時は葉が散らないように根元から折る。

<料理>
天ぷら、和え物、炒め物など

<調理のポイント>
天ぷらにする場合はアク抜きをする必要はないが、和え物、炒め物の場合は水にさらして苦みをとる。

<こぼれ話>
昔この木の樹脂から金漆(こんぜつ)と呼ばれるウルシに似た塗料をとったところから、「コンテツ」「コンゼツ」という。また、この木の中心部を抜き、刀のおもちゃにしたことから、「カタナノキ」と呼ばれている。



<分類>ユキノシタ科

<旬>5~6月

<食べるところ>

<特徴>
旬は5〜6月だが、1年中味わうことができる山菜。ちょうど旬の頃に白く独特な花が咲く。 採取する時は、根を引き抜かないようにそっと折ることがポイント。天ぷらが一般的で、薄衣につけ、サッとあげる。

<料理>
天ぷら、和え物、汁の実

<調理のポイント>
天ぷらが一般的で、薄衣につけ、サッとあげる。

<こぼれ話>
この植物は、キンギンソウとも呼ばれ、民間薬として利用され、また観賞用として、庭先のも植えられている。葉は、あぶると腫れ物ややけどにきき、絞り汁は、ひきつけなどにきくと言われている。



<分類>ドクダミ科

<旬>6〜7月

<食べるところ>若芽、若葉、地下茎

<特徴>
梅雨の時期に白い花が咲き、特有のにおいが印象的。日陰や湿った場所を好む。お茶が一般的だが、天ぷらも絶品。地下茎はきんぴらにする。

<料理>
若芽、若葉は天ぷら、和え物、汁の実。
地下茎は、きんぴら、酢の物 。

<調理のポイント>
つんだ時にむっと漂う香りは、火を通すと消える。天ぷらの場合は、生の葉に薄衣をつけてサッとあげる。 地下茎は茹でたり、水にさらしてから料理する。

<こぼれ話>
におい消しの効果もあるので、1輪さしておくのもおすすめ。葉をよく乾燥させてお茶にする。



<分類>キク科

<旬>5〜6月

<食べるところ>新芽

<特徴>春、落ち葉の間から綿毛に覆われた葉を1枚だけつけて伸びてくる。
食用には、葉が開ききっていない新芽をつむ。独特の香りと歯ごたえを楽しみたい。


<料理>
若芽、若葉は天ぷら、和え物、汁の実。
地下茎は、きんぴら、酢の物 。

<調理のポイント>
つんだ時にむっと漂う香りは、火を通すと消える。天ぷらの場合は、生の葉に薄衣をつけてサッとあげる。 地下茎は茹でたり、水にさらしてから料理する。

<こぼれ話>
掌状に切れ込みがあり、葉が開くとその名の通り破れ高さのように見える。開ききった葉は硬く、食用には向かない。 丘陵地や山地の林に群生しているが、とりすぎには注意。



<分類>キク科

<旬>3月〜5月

<食べるところ>新芽 、若葉、伸びた茎先

<特徴>草餅にする時は、白い綿毛をかぶった早春の若芽を、天ぷらには晩春の伸びた茎を利用する。和え物には茹でて刻むとよい。


<料理>
草餅、天ぷら、和え物


<調理のポイント>
たっぷりの熱湯で茹でてみずにさらし、水気をよくきってから和え物に使う。 天ぷらは生のまま、薄衣につける。 細かく刻んだものを米に混ぜて炊く、よもぎご飯もおすすめ。

<こぼれ話>
百人一首の中で、モチクサ と読まれるよもぎ。 薬効効果もあり、端午の節句にはお風呂に入れてヨモギ湯にする。根は清酒に半年つけ込み熟成したものはゼンソクに効くと言われている。また、茎を煎じたものは、健胃、貧血によいと言われている。



<分類>ユリ科

<旬>4〜5月

<食べるところ>若芽、花

<特徴>香りはその名の通りニンニクそのもの。梅雨の頃、ネギ坊主のようなかわいらしい花をつける。


<料理>
おひたし、天ぷら、和え物、炒め物、汁の実


<調理のポイント>
葉は柔らかく厚みがあり、舌ざわり、味とも抜群。葉、花ともさっとゆでて料理に使う。また、天ぷらは生のままでもよい。

<こぼれ話>
深山で修行をする行者が勢力をつけるために食べたことからこの名前がつけられたとか。ニンニクと同じ成分が含まれており、食欲増進や血行をよくする作用もある。  葉の形が有毒のスズランに似ているので、採取する時は気をつける。



<分類>キキョウ科

<旬>4〜5月

<食べるところ>若芽、若い茎

<特徴>山菜として有名なツリガネニンジンに近い種類。ヤマソバ、シャジン、ヤマトトキなどの別名も持つ。
半日陰の林など、山地の湿ったところに生える。茎を折ると中空で、白い乳液が出るのが特徴。


<料理>
おひたし、天ぷら、和え物、炒め物、汁の実


<調理のポイント>
採取の時は、一株から2〜3本選んで折る。乳液は独特のにおいがあるが、茹でれば消える。サッと茹でて、歯触りのよさを楽しみたい。

<こぼれ話>
8月には、夏の山道にかわいらしいツリガネ状の青紫の花を咲かせる。




(取材協力:長多喜